脳外科に配属されたとある新人看護師の転職理由

転職した理由は何でしたか?

わたしは都内の総合病院で脳外科に勤務していました。
新卒で脳外科に配属されるのは珍しいそうですが、働いてみるとその理由がわかります。
脳外科はとても専門的な分野なため、看護学校で習っただけの知識では全く役に立たず、一人の看護師として業務ができるようになるまで、1年以上かかってしまうのです。
そのため脳外科に新人が入ろうものならあっという間に潰れてしまうため、新人ではなくベテランの看護師が配属されるそうです。
そして私も例外なく、潰れてしまいました。
毎日が未知の世界でヘトヘトになるまで働き、家に帰ってからも勉強しなければ付いていけないからです。
1年くらい頑張りましたが、ある夏の朝どうしても病院に行けなくなりそのまま退職することになりました。

病院側に転職するはどのように伝えましたか?

最初に病院を休むと電話した時に先輩に話しました。
そこで脳外科が難しすぎてついていけないこと、精神的に限界なことを伝えています。
それが師長さんに耳に届き、夜自宅に来てくださいました。
師長さんはまず謝ってくれました。
精神的に追い詰められていたのを感じていたけど、配慮が足りなかったと。
でもわたしもそんな周囲の気遣いを感じていましたが、逆に1年もたってまだ一人で仕事ができないことを申し訳なく思っていました。
お互いにごめんなさいをして、その場で1ヵ月の休職が決まりました。

診療科を転属できなかったのですか?

休職して1週間後、師長さんから連絡があり、内科病棟に転属になるかもしれないと話がありました。
ただ私は、それも申し訳ないと考え、退職したい旨を伝えています。
今思うと、「脳外科に付いていけなかった看護師」というレッテルを張られるのが嫌だったのかもしれません。
病院側の好意を自分のプライドで台無しにしてしまったことを今でも後悔しています。

転職活動はどうでしたか?

看護師の転職は、よく「資格があるから就職口なんてどこでもあるじゃないの」というイメージを持っている方々が多いかと思います。
しかし現実は、求人の数は確かに多いけど、それ以上に「職場環境」でなかなかマッチングするところが見つからないというのが私の経験です。
しかし、転職先でマッチングしないからと言って、転々と職場を変えていたら、自分の職歴もドンドン書き加わっていき、きっと綺麗な履歴書でなくなっていくと思います。
そのため給与条件だけでなく、その転職先の雰囲気、活動状況、将来性というなかなか表に出てこないところを十二分にリサーチすることが大切かと思いました。
そのため私は学生時代の仲間からだけではなく、病院へ出入りしている各種取引業者さんとも仲が良かったため、そこからも結構情報を仕入れていました。
友人・知人からの紹介「縁故」で転職してしまうと、何かあった時に紹介して下さった方にも迷惑がかかってしまうからです。

その後、無事に都内の総合病院の病棟で働けることになりました。

転職してどうでしたか?

お金も大切だけどやはり毎日仕事が楽しくなければ続かないと思います。
医療の現場はある程度は職員一人一人の「思いやり」で支えられていると思います。
いくら患者さまへの思いやりが強くても、職員間のコミュニケーションが無いのでは、とてもつまらない職場になってしまうと思います。
私は、今の職場は2か所目ですが、今のところ「転職」を考えるほど環境は悪くなっておりません。
報酬も前職場と比べてもそれほど大差がないのですが、コミュニケーションはばっちりです。